† of Ogre~鬼の心理
区内は俺の魔法陣が作用しているし、さっき『結界』と『隠蔽』の公式を追加した。『秘境』と定義した効力の働く魔法陣内では、俺の魔術公式『目録』に登録されているアル、そして真輝の存在は認識されない。

つまり、真輝やアルが例の女とドンパチをやろうと、だぁれも気付きやしない。

「思念体を知ってるか、アル」

《ああ、うん、それくらいは知ってるよ。もっぱら人間の残留思念、思いの残り香だろう? 生きてないけど、動くヤツ。幽霊みたいな、だけど違うヤツだろ》

「ふむ。外れとは言わん」

フジオカ少年の時ではないのだ、今はそちらの講義は後回しにする。

「その思念体のなすべきことは、残留した当初の目的に従順する。即身仏は、この思念体を半永久的に生み出すようなもんだと思えばいい。

さてとだアル。思念体とはひとつの目的を確定されて初めてて残留する。そして即身仏は、ひとつの場所を守る意義を得てこそ存在が立証される。この二つから導き出せることは?」

《簡単だね》

ごごう、ごごう。はは。ごごう。

風音の合間に、かすかな笑い声が。
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