† of Ogre~鬼の心理
「彼女さ、大昔の巫女――だっけ。どれくらい昔かは知らないけど、やっぱり破魔系統の力を有しているみたいでさ、僕でさえ悪寒が走るんだよ。なんだろうね。キャンセルが働くから致命傷は負わないけど、でも、ちょっと怖いよ、あれは。なまくら刀を振り上げてくる夜叉、みたいな。できるならあまり対峙したくない相手だね」

「はんっ」

といっそ、その表現を鼻であしらった。

「なにを甘ちゃんじみたことを抜かしてるんだ。お前こそ隠居ですっかり鈍ったか。永遠の逃亡者〝黄昏〟が怖いのは、この地球上じゃ〝白夜〟だけじゃなかったのか? あ?」

「じ、仁……っ」

おちょくってやると、冗談でもそんな単語は聞きたくなかったのか、アルはよくよくわかるほどに狼狽した。

眉間にしわを寄せている。なんだ、そういう顔もちゃんとできたのか、コイツは。

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