† of Ogre~鬼の心理
俺はつい、片手をポケットに突っ込みながら、もう片手で頭を掻いた。どうせ乱れ放題の髪だ、遠慮せずにがしがしといく。

「あ~、アル、お前があの女に対して疑問があったように、俺もそのフジオカ少年とカザマ少年が解せん」

「うん? なにが?」

顔に当てていた手をパット開き、指の合間から視線を送ってくる。

紺碧の目は、空が近いここでもなお、青く見えた。

「お前はフジオカ少年の亡霊を見たと言う。そのフジオカ少年が、真輝になんらかの干渉をしていて、カザマ少年がそれをアルに教えた。これが、お前が俺に話した、そのカザマ少年との会話だ」

「うん」

それのどこに、解せないことがあるのか、という顔だが――既成事実があるのだ。

「なあアル、その亡霊になっとるフジオカだがな、昨日、ウチに来たぞ。真輝と一緒に」

「は、い?」

一瞬の空白があり、アルは手を横に振った。さっきよりも勢いがある。ブンブンだ。

「……いや……いやいやいや、まさか、まさかそんなはずがないよ! 藤岡悟だよ? 藤岡悟っ! 彼は、だって彼は、消滅したじゃないか、僕らの前で! 真輝ちゃんのためにっ!!」

「消滅って……」
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