† of Ogre~鬼の心理
アルは、なにを言っているのか、いよいよ混乱してきた。

アルが見たものが亡霊なのか。それとも、俺が見たものが亡霊なのか。では真輝がウチに連れてきたのは亡霊か? まさか。アイツと同じ学校の人間だろう。亡霊が学校へ通うものか。

だが――消滅したフジオカ……?

昨日出逢ったフジオカとは、違うフジオカがいる?

違う、フジオカが、いる。

違う――フジオカ――消滅――真輝――

なにか、記憶のささくれのようなものが、引っかかる。

「フジオカ、フジオカ、フジ、……待て。……いや、待て! 待てよ、待て、待て待て待て? うん? うん? 待てよぉ……?」

記憶がある。覚えがある。そうだ。

あれは真輝と暮らし始めた一年目――

仮面を貼りつけたような笑顔――

なにかを見透かした口調――

小動物のような滑稽さ――

知ったような物言い――

真輝が慕っていた――

名前はたしか――

フジオカ――

藤岡――

――そうか。
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