† of Ogre~鬼の心理
思わず、いつの間にかこめかみを押さえてしまっていた手で拳を作り、反対の手へ当てていた。

パン、といういい音がした。

「思い出した! そうだ藤岡悟! あのいけ好かねぇ、運命観察のガキか!!」

「そう、その藤岡悟だよ!!」

自分の誕生日でも思い出してもらったように、アルも強く人差し指を突き立てる。俺はそれに対し、「ああ、ああ、うんうん」と何度も頷いた。

そうだ、まったく失念していた。これでようやく、俺の中でも合点がいく。

昨日、フジオカ少年に面識がないにもかかわらず、フジオカという名前に聞き覚えがあったのは、藤岡少年と過去に逢っていたからだ。

藤岡悟――それはたしか、真輝の、たったひとりの、人間の友人だ。

それは俺達が一緒に暮らしてから、という期間限定の話になるが、あのお嬢さまがあれ以前にもまっとうな人間の友人がいたとは思えない。

つまり、藤岡少年が最初で最後と考えて、ほぼ間違いないだろう。

真輝とまともな交友関係を築いた、今のところ最初で、最後の人間――それが藤岡悟だ。
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