† of Ogre~鬼の心理
あっという間に別の建物の屋上へ乗り移った和服姿のお嬢さまが、そのまま袂をはためかせ、小さくなっていく。

「……さ、ほれ、なにぼさっとしてんだ、アル」

「あぃだ」

ぽかんと、見送った保護者の肩を叩いてやる。

真輝もまともな人間ではないのだから、自分で飛び降りた以上なんの心配も要らんとは思っていたが……さすがに、今の芸当には笑った。たしかにはちゃめちゃだ。

いったいどこへ向かうつもりか、真輝の心理心情はまったくもって読み取れないが……方角は南だ。

こんな時な、あんな行動を、その方向に。

まったくもって、アルではないが、なんの因果応報か苦笑しか出ない。

「俺達も動くぞ。ぼやぼやしてたらお嬢さまがなにしでかすか、まったくもってわっかりゃせんからな」

「……そう、だね」

立ち上がるアルへ、状況が状況だ、手っ取り早く言う。

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