† of Ogre~鬼の心理
魔法は便利な砲台じゃあない。

この炎の起源である契約相手とはあんまりにも長い付き合いだけに、代償がだいぶ軽くなっている。

下手をすれば、そのまま世間話も始められるほど付き合いは長い。もっとも、そこまでフレンドリーに思っているのは俺のほうだけかもしれんが。

それでも、俺の体内では代償と報酬の公式が成り立っている。

つまりわかりやすく言えば、炎一発に対して、疲労が蓄積するのだ。くたびれるのだ。面倒くさいのだ。

この面倒くささと疲労が、魔法というものだ。

『窓』の向こう、まるで幻想が輪郭を得たかのように出現する女をまた、また、またまた撃ち焼く。

女の体は、天使からくすねている炎の前では、塵も同然だ。だが、あの女は本体を叩かなければ何人でも現れる。

何人でも、何人でも。

いっそ、ガンゲーのようでさえある。

それにしても――ここまで手応えがあって、かつ無意味な戦闘は初めてだ。

キリが見えない。いや、はなっからキリなどない。根比べというわけだ。

「あー、くそ。アル、早く本体をぶっちめろ」

そんな独り言を、まったくもってどうしても、ぼやきたかった。

炎の光線を撃ち続ける。

面倒くさいことこの上ない。
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