† of Ogre~鬼の心理
どこか突拍子もないような問いへの答えは――姿なき声だけ――だが、決まっている。

―― 僕は、君の鞘だよ、真輝 ――

そうだ。いつかとなったあの日、アナタが言った言葉も、そう、だったから。

今でも鮮明に思い出せる。

藤岡悟はあの日あの時、きっとあの瞬間に、なにもかもを運命づけたのだ。

(だから)

と、心中で頷いて、私は右手に握っているものの小さな出っ張りを、押し込んだ。

かしゃん。

(私が、刃。アナタが鞘よ)


柄から飛び出したのは、渡りが十五センチにもなる、刃。藤岡が私にくれた、鋼鉄白銀の羽根。

「だからこそ、」

握りは漆塗りの黒、全体は縦に引き延ばされたS字に近いこれは、称して、ナイフ。

「私はアナタを大嫌いで、大好きになれたんだわ」

私の狂気と真鬼とを孕ませた、殺意を具現化させるもの。

うたかた沈んだ心情に合わせて伏せかけていた視線を、持ち上げる。

「待ってなさい藤岡。アナタの約束は、すぐに果たさせてあげるわ」
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