† of Ogre~鬼の心理
力強く――いや、力任せで、アスファルトを蹴りつけた。方向は右手側。裂かれて開いた襟や長い袖が空気を孕むが、そんな抵抗はさしたるものではない。

《《《なっ!?》》》

と、女らが一様、驚愕に目を見開く。

その眼前、群集のど真ん中へ、

「邪魔なのよ!」

ナイフを目一杯に振り被った形で、私は突撃していた。

一瞬で、一歩で。

風よりも、速く。

跳躍と速度をそのまま勢いに乗せ、右足裏をアスファルトへ叩きつける。路面がずどん、とへこんだ。その瞬間で体重移動。右腕を、上半身のバネを丸々利用して振り抜く。

《《《――あ?》》》

一撃の、軌跡。ナイフの白銀が閃いた瞬間で、四人。女の胴体が、下半身と別れを告げた。

路上に残された下半身からは鮮血が噴き雨となり、斬り飛ばした胴体は宙で青白い燐となって散った。下半身も、ほぼ同時に、血の紅が夕刻の幻であったように霧散している。

《《《おのれ!》》》

振り返れば背後から五人、女が殺気を放っていた。

が、甘い。深く屈伸し、体を伸ばす勢いでそのまま跳躍。背を反り、腕を振り、足で空を蹴った時には、大きなバック宙となっていた。
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