† of Ogre~鬼の心理
後ろへ振り返りながらナイフで空間を凪ぐ。そこに手応え。白刃が、襲いかからんとしていた女の胴を上下で分断していた。鮮血が滝となる向こうから、次の女が力を放ってくる。横へ跳んだ。手を突いて側転。女の力が、彼方でなにかを破壊する音が聞こえた。着地と同時に、襲いかかってきた女へナイフを投げる。脳天に白銀を食らった女が、ショットガンでも食らったような勢いで仰け反り、アスファルトへ落ちた。走って、路上で痙攣する女のひたいからナイフを抜き取る。振り上げる形で、正面の女へ斬りつけた。腕を胸の前で構えていた女の股下から脳天まで、一気に。血が、縦に一文字、下から裂けていく皮膚を押し破って盛大ド派手に噴出する。骨ごと切断した手首が路面を打った時には、対面にあった私の体は、完全に紅染めされていた。その時、とっさに深くしゃがみ込む。真横から頭上を殺意の暴風が鎌のように過ぎ去り、彼方に立っていた街灯を横断した。達人の居合いのように一瞬の間を置いてから、きし、と小さな音を立てて芯のズレた街灯が、倒れる。照明が呆気なく割れた。私を仕留め損なった女の悔しがる声は、後方から。私は腕と足との両方をバネにし、トカゲのようなポーズから横へ、スライドするように跳躍した。
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