† of Ogre~鬼の心理
路上へ着地し、低い姿勢から走り出した。ナイフは真横に構える。腕は左右とも振らない。滑空するツバメのように走った。

《東城の!》《鬼が!》《〝鬼姫〟が!》《魍魎が!》

鬼、鬼、鬼、とそればかりを女の一団が喚き散らす。

その手に手にボウと燐を纏いながら現れたのは、漆塗りの茶色い長柄、金の環と鈴が飾る錫杖だった。

真鬼の相手をしていた時には持たなかったそれは、恐らくではなく武器だ!

それぞれが一斉に、錫杖を高く掲げる。その石突が、

《ひ《《ひ《《ひじり》》り》りね》よ!!》

じゃしゃん!!

あまりの人数で重複した言霊とともに、突き下ろされた。

清々しさと静謐さを通り過ぎ、いっそ濁ってしまった不協和音が爆発する。

「っ!」

同心円状で膨張するほの青白い殺意の空間が、止まりきれない私を飲み潰す――直前、

「真輝ちゃん!」

「!?」

頭上から落下してきたアルが、私の前に仁王立ちとなった。

両腕を広げたアルの背中が、私を守る。

「ぐっ……!!」

が、強力に過ぎた衝撃波はアルの踏ん張りを突っ切り、叩き飛ばした。

真後ろにいた私も、それに押されて地面から足が浮く。
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