† of Ogre~鬼の心理
「ええ。鈴原の妹一族は、やはり当時のことが気にかかっておりましてね。まあ、あの姉巫女を封じ込めたのは、だれあろう妹巫女なのですから、いやはや、因果とは単純なようで複雑なものです」
「御託はいい」
「相変わらずお気が短い。さてぇ、私が聞いた鈴原の事情は至極単純なものです。かつて不本意で敵対し、封印までしてしまった姉巫女を、また手にかけるのはあまりに耐えがたい、と。それだけです」
「……そりゃあまた、ずいぶん都合のいい話だな」
俺はシャツの胸ポケットからタバコの箱を取り出した。頭を指で叩いて、一本弾き出す。それをくわえたところで、にゅっとなにかが視界に入った。
やや離れていた一ツ橋が近づいて、手を伸ばしてきている。なにかと思えば、ライターだ。
「使いますかな?」
「要らん」
即座の一蹴。
「自分のがある。お前のはイヤだ」
「さようで」
なにせ以前、コイツの持ち物に触れてしまったせいでえらい目に遭ったのだ。同じ轍は踏まない。火打を回した途端、えげつない術が発動しないとも限らない。少しくらい過敏な警戒をしてちょうどいいのだ、一ツ橋は。
「御託はいい」
「相変わらずお気が短い。さてぇ、私が聞いた鈴原の事情は至極単純なものです。かつて不本意で敵対し、封印までしてしまった姉巫女を、また手にかけるのはあまりに耐えがたい、と。それだけです」
「……そりゃあまた、ずいぶん都合のいい話だな」
俺はシャツの胸ポケットからタバコの箱を取り出した。頭を指で叩いて、一本弾き出す。それをくわえたところで、にゅっとなにかが視界に入った。
やや離れていた一ツ橋が近づいて、手を伸ばしてきている。なにかと思えば、ライターだ。
「使いますかな?」
「要らん」
即座の一蹴。
「自分のがある。お前のはイヤだ」
「さようで」
なにせ以前、コイツの持ち物に触れてしまったせいでえらい目に遭ったのだ。同じ轍は踏まない。火打を回した途端、えげつない術が発動しないとも限らない。少しくらい過敏な警戒をしてちょうどいいのだ、一ツ橋は。