† of Ogre~鬼の心理
俺がタバコに火をつけるのを待っているのか、一ツ橋は口を開かない。

その前で俺は紫煙を肺にまで入れ――

「っ、ぼほ、ごほっ、げほぼほっ……」

またむせた。どうにもやはり、タバコというものに慣れない。あと十年か二十年かしないと耐性がつきそうにない。好きでもないものを続けるのは、単純に苦労だ。

咳き込む俺を見てくすくすと一ツ橋が肩を揺らしている。コイツめ、黙っていると思ったら俺がむせるのを見たかっただけか。本当に、逐一が頭にくる。

「まあ、責任の放棄は見受けられますが……鈴原家の方々も悩んだでしょうねぇ、けじめをつけるべきか。が、あの姉巫女は標的をアナタ方に絞り、かつアナタ方も応戦しましたのでね。そこで、出る幕はないと判断したのでしょう」

「ふん」

とまた鼻息。タバコの煙がいのししのように溢れた。我ながら初めての芸当だ。

「ふざけてからに。そういうのは最後まで責任を持てってんだ、ったく。こちとらえらい目に遭ったんだぞ」

なにせ昨日、シチューの材料を丸々失ったし、俺は怪我を負うし、だ。
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