† of Ｏgre～鬼の心理
「フジオカ、『そういうの』はやめてちょうだい。本当に迷惑よ」

「うん、ごめん。本当にごめんね」

と、風間は後頭部を掻きながら、へこへこと謝った。

コイツの、妙に腰が低いところは嫌いだ。

まるで、私に付け入ろうと隙を狙っている、底意地の腐った狐のような気がする。

ちなみに、風間をフジオカと呼ぶのは――不覚ながら初めて彼に会った時、そう呼んでしまったからだ。

風間は『フジオカ』とは違うのに、彼がそう呼んでいいからという理由で、それに甘んじている。

だから、彼は風間であって、フジオカと呼ばれるヤツなのだ。

――風間は嫌いなのに、甘えている私は、矛盾している。

出てけ出てけと思う心に偽りはないのに、彼の侵入を許さないながら認可している私は、矛盾している。

……私が矛盾しているのか？

いや。たぶんだが、風間はヒトの心につけ込むのが得意なのだ。きっとそうだ。

だからこれ以上、踏み込ませはしない。踏み込ませてはいけないのだ。
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