ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~

「お待ちしてましたよ、奥の席にどうぞ」

笑顔で挨拶すると、満足そうに微笑む佐々木さん。
と次の瞬間、俺の腕に自分の腕を絡めてきた。
な、何の真似だっ!?
驚いて固まっていると、周りにいた友人たちがキャアキャア騒ぎ出す。

「礼子さんったら、見せつけないでくれる」

「ほんとよぉ~」

そう言われている佐々木さんも、満更でもないようで、

「えぇ~、だって……ねぇ?」

お、俺に聞いてるのか?
ねぇ……と言われたって、どう答えていいのやら……。
雅哉、お前の言っていたことは、間違いじゃなかったみたいだ。

その場を何とかしのいで奥のスペースまで連れて行くと、もちろん彼女は俺が座る予定の場所の隣をキープした。

厄介だな……。

お客さんに対してこんなことを思うのはいけないことなんだろうが、今目の前で繰り広げられている会話を聞いていると、どうやら俺は佐々木さんの彼氏?らしい。彼女、一体どんな話を彼女たちにしてるんだ。
何も聞いてないフリをして、勝手に話を始める。

「今日は佐々木さんからのご依頼で、カクテルについて基本から簡単にレクチャーしていきたいと思っています。軽い食事を交えながらの約2時間、よろしくお願いします」

たったままそう挨拶すると、拍手が沸き起こる。
慣れないことに少し照れながらソファーに腰を下ろすと、すぐさま佐々木さんが身体を寄せてきた。

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