ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
「修さんっ。何もってるんですかっ!?」
壁一枚隔てた向こう側に、梓がいることも忘れて大声を上げてしまう。
「もう解禁なんだろ?」
解禁って……。俺は蟹や伊勢海老じゃないぞっ!!
心の中でそう叫ぶ。
ガクンと項垂れている俺を見て、修さんは楽しんでいるみたいだ。
「解禁とか言わないでくださいよ……」
力なくそう訴える。
『遼さん? どうかした?』
俺の大声を聞いて心配したのか、梓が俺の名を呼ぶ。
慌てて修さんの手から避妊具を奪い取り彼女に声を掛けると、修さんがドカッと肩を組んできた。
「無理やりするなよ。梓ちゃんのこと、大切にしてやれ」
「分かってます。もう昔の俺じゃないですから」
心配をかけ続けた修さんを安心させたくて、本心でそう答える。
それに気づいた彼に、左手に隠し持っていた避妊具五つを手渡された……。