精神科に入院してきました。

軟禁・閉鎖病棟北館

お部屋にもどって、あらためて見まわした。

きれいな部屋。
だからこそさびしい部屋。

着ているもの以外、全部病院のもの。


そして……
おそるおそる、カーテンをあけて、見えたものに笑いがこみあげてきた。


ああああ、間違いなくここは精神病院だ。
ドキュメンタリーや映画のイメージを裏切らない。


何が見えたと思う?



竹林。
以上(笑)



窓からは竹林しか見えない。
ワゴン車で連れてこられたから此処がどこかもわからない。




でもどこかで、携帯電話が手元にないことに安心している自分もいた。
面倒な繋がり。携帯があるからこそ感じる、孤独。



お母さんのことも。
お父さんのことも。





そしてなにより気がかりなIさんのことも、頭の外。



考えたら辛くなることから、全部全部引き離されて。


わかってる。
すべて嫌だから死のうとした。




だけど、だけど、Iさんは……
彼だけは……


ーーーーーーーーーーーー

ナースさんが入ってきて、メロンパンとミルク、そしてそっけないソーセージを一本の食事を置いていった。
そして、「若いから自分であけられるよね?」と謎の言葉を言い残し、去っていく。



……何のことだろう?
ソーセージのビニール製皮のことかな?



この疑問はしばらくのちの解決する、つまり、この病棟は認知症のお年寄りが多すぎて、
パンの袋を自力で開けられる人が少ないらしい。




やっぱり歯磨きはできず、いい加減イライラしてきたところへまた誰かが入ってきた。



2012.11.9  13:51
はなの
< 12 / 65 >

この作品をシェア

pagetop