精神科に入院してきました。
このなにもない。
どれだけ辛いか。


入ったことのある人にはわかりますよね。
自分の私物がないんです。



私の場合、搬送された時の服に紐とかが付いていなかったので、着替えさせられずに済んだけど。




そしてまだ一晩しか過ごしていないのに、じわじわ恐怖が襲ってきた。

私、20代女子なんですよ?
歯ブラシない、タオルない、髪も長いほうなのに束ねるものもなければブラシもない、そしてそのときひどくひどく気になったのは。




お風呂は?



このままお風呂入れなかったらどうしよう……
なんて恐怖もでてくる。
だってお部屋の外の様子が全く分からない。


なのでおっかなびっくり、引き戸になっているドアを開け、わたしは廊下に出てみた。



……鍵はかけられてなかったことに一安心。

お部屋から顔を出すと、すぐ斜め前に、畳四畳くらい?(私、畳に換算するのよくわからないんだけど)とりあえず6畳のワンルームよりはちょっと狭いくらいのところに、丸テーブルがひとつと、椅子がいくつか置いてあった。
で、壁に家庭用の大きいサイズくらいのテレビ。

ここがホールと呼ばれると、後で知った。


そこに時計もあったので、時刻がチェックできることが分かり一安心。

スリッパもとりあえず病院のものを貸してくれたので、廊下の端まで探索。



図をつけたいけどつけられないから、とりあえず説明すると、ひたすら細長くて狭い廊下。
長さは、そうだな25メートルプールよりは長かった。
私のお部屋の左側に三室、右に診察室でその向こうにも二部屋、その向こうがナースステーション。
で、向かいはホールとかお風呂場(存在を発見してうれしかった!)、コインランドリー的なものとか。



シュールなのは、ナースステーションの向こう側の景色。
そこは廊下の両側に病室があり、全部個室で、部屋の明かりはついておらず、食事の差し入れ口まであって、まさに牢屋的な雰囲気を醸し出していた。
なんか静かだし。


ナースステーションの前に鍵のかかった扉があって、おそらくここが唯一の出入り口。


早々に自分の病室のある方に戻って、今度はそちらの端までいくと。
見えちゃったんですよね。
五点拘束、つまり縛られてるおばあちゃんたちの姿が。




ああああああああああ
ここは精神病院だ。
しかもなぜかお年寄りばっかだ!


私は「いざとなったら拘束できる」権力を持つ病院の威圧感に早くも神経が参りそうになりました。


死のうとしたくせに、って思うかもしれない。
でも。
ここは死ぬことすら禁じられている。



そう、完全に逃げ場がない。
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