精神科に入院してきました。
さて、私がお風呂からあがると、看護師さんが当然のように、タオルも脱いだものも、シャンプー類も、すべて回収していってしまい、髪が濡れたまま、とりあえずドライヤーだけは貸してもらえたけれども、タオルがない不便な状態で髪を乾かす羽目になった。


 というか。
なにもかも、取り上げられる。
理由はひとつ、「あぶないから」。



あぶない?



シャンプーをとりあげるのは、「飲んだらいけない」
タオルを取り上げるのは「首をつってはいけない」
洗面器は「割って怪我してはいけない」


失笑。

まるで小さな子どもだ。
いや、小さな子どもでも洗面器は取り上げられないだろう。
だって子どもには洗面器を割る力がない。


つまりここは、要警戒、危険な大人の収容所なのだった。



ただ、私はおとなしくしていたせいか、身体検査はされずに済み、あのリップクリームを取り上げられた彼女のような目にはあわなかった。


あんなことされたら、平常心を保てたのか自信がない。
きっと怒ってしまう、けれど怒ったら拘束される。


……屈辱だった。


お風呂にはいってさっぱりして、今日は退屈しなくて済みそう、なんて思っていたら大間違い、やっぱり昼からは退屈だった。

 私は、ストレスがかかると顔面にアレルギーのような症状がでる体質なのだけれど、病院のストレスと、なれない石鹸を使ったせいで顔がかゆかったり痛かったりしてきて、ひどく憂鬱になった。


今日は主治医がいるはず。
はやく「診察」してほしい、そして一刻も早く解放してほしい。
もう死のうなんてしない、こんなところに閉じ込められるくらいなら、それこそ「死んだ方がましだ」。




泣きそう。


 
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