完:嘘つきは恋の始まり
顔も見たくない…か。
しょーがないよね。
でも、でも私はカズと話せないの辛いよ?
入り口で立ち止まった私を隣で綾が心配そうに見ている。
「ほら、席つけー」
岡田先生が私の背中を押して中に入ってきた。
そういえば…私、席隣なんだよね。
ゆっくり歩いて行っても、カズと目が合うことはない。
きっと嫌われたんだ。
………どうしよう、辛いよ。
カズと話せないのがこんなにも辛い。
私のことをあの笑顔で見てくれることは、もうないのかもしれない。
涙が出てくる。