君がくれたモノ
莉奈はなぜこのタイミングで、蒼が昨日の事を持ち出すのか分からなかった。

「今の服装だと、また令に見つかってしまうかもしれない‥もう莉奈を危ない目に合わせたくないんだ!」

「アタシ‥気にしてないよ?」

笑顔を作ってそう言ったが、うまく笑顔が作れない。それだけ昨日の出来事が怖かったのだ。

「莉奈が無事に帰れるまでは、絶対に俺が守るから」

蒼は莉奈の頭を撫でながらそう言った。
【帰る】その言葉を聞くと、莉奈は少し寂しい気持ちになる。
蒼とはいつか会えなくなるのか‥


蒼と離れたくない‥


知らない間に、莉奈の中でそんな気持ちが大きくなっていた。


「蒼様‥?」

二人が話していると、後ろから女が蒼を呼ぶ声がした。
莉奈と蒼は振り返える。
そこには莉奈よりは年上だが、若くて綺麗な人が立っていた。

「‥茜さん!お久しぶりですね。もう淋江に戻っていたんですか?」

蒼はその人を知っているというよりも、むしろ親しげに話し出した。
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