雨、ときどきセンセイ。
「礼」
チャイムが鳴り終わる音と同時に礼を済ませて授業が終わる。
そうなると、それこそもう私とセンセイとの間に視線が絡むような機会はなくて。
いつものように女子に囲まれて、それを上手く交わし、教室を出て行った。
それを横目で見送ると、後ろから声を掛けられる。
「吉井がちょうど当たったヤツ」
「?!」
「……んな驚かなくても」
「急に声掛けるんだもん」
後ろを振り返り見上げると、ノートを持った水越が立っていた。
「問3だけ、躓くんだけど」
「また? センセイに聞けば良かっ……たじゃ、ない」
最後まで言ったものの、ちょっと気まずい雰囲気になる。
「吉井、教え方上手いから」
さらりと水越はそう答えて私の机にノートをポスッと置いて屈んだ。
そんな水越を見て、つい心の声を漏らしてしまう。
「ほんと……いいヤツ」
その言葉に水越は走らせていたペンを止めて、顔を上げて私を見た。
「“いいヤツ”がイチバン損だ」
「……あ、そこ違う」
「てめ、話逸らしたな」
そんな会話をしながら私たちは問を解いていた。
すると、あっという間に休み時間が終わるチャイムが鳴った。