雨、ときどきセンセイ。
卒業までの数日間


青天の下に、私はいた。


「……ああ、でもさすが2月半ば。寒い……」


そう呟いて。

肩を上げて襟元を立てる。


「だったら外に出なきゃいいだろ」


呆れたような声に振り向くと、視界に缶が入ってきて驚いた。
それを反射的に受け取ると、冷たい手に温もりを感じた。


「だって、天気いいから」


両手で缶を包みこんで空を仰いだ。
どかっと横に腰を降ろした相手は、プシッと音を立ててプルトップを開けた。

そして私と同じ角度くらい頭を上げて喉を鳴らす。


「え。コンポタ?」
「昼飯がパンだから合うだろ」
「コーヒーとか飲みそうなのに」
「好きなんだ。悪いか」


不意に目に入った隣の手の中のものがコンポタージュだったのに驚いて笑ってしまった。


「あ、でも私のはちゃんとコーヒーだ」


さっき受け取った缶をもう一度確かめて見てみると、それはホットコーヒーで。


「吉井、文句いいそうだからな」


そう言ってガサリと隣からパンの袋を開ける音が聞こえた。


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