雨、ときどきセンセイ。
卒業証書の希望


「はい。じゃあ廊下に整列」


それから間もなく、センセイはいつもと……いや、いつもよりもカッチリとした印象のスーツとネクタイ姿で教室に現れ、一言言った。

廊下に整列をした私は大体列の真ん中あたり。

先頭の前を行くセンセイの後ろ姿をずっと見つめていたけど、その視線に振り向いてくれるわけなんてない。


厳かな雰囲気の中で式典が開かれた。

『ああ、本当に最後なんだな』

なんてちょっと干渉に浸りながら普段は雑に歌っていた校歌を口にしたりして。
校長の話も、PTA会長さんの話も、今日と言う日だとなんだか真剣に耳を傾けてしまう。

だけど、もう一方で……。

私の神経はずっとセンセイを捕えたまま。


顔は正面を向けているけど、時折ちらりと横目でセンセイを確認してた。


センセイは真面目に立って正面へ視線を当て、時折目を伏せるだけだった。


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