雨、ときどきセンセイ。

「まぁ、そう言われたら……そうなんだろうけどさ」


みっちゃんがそう確認するように呟いて、ようやく私の手から箸を受け取った。
そしてハンカチを取り出しながら言う。


「でも、それは簡単に口外出来ない話だね。水越にも言えな」
「し、知ってるんだけど……」
「は?」
「水越も、その……私が好きな……相手を」


その後、時間が止まってるかのようにみっちゃんは静止した。
目も動かさず、もちろん体も。
私はそんなみっちゃんを不安に思って恐る恐る覗き込む。


「み、みっちゃ」
「信じられないっ!」


至近距離から放たれたみっちゃんの叫び声に目をつぶる。
それからそーっと目を開けると膨れたみっちゃんの顔があった。


「どーして水越に言えて、私には今なのよ?!」


もっともな指摘を受けて私は肩を竦めた。

自発的に水越に伝えたわけじゃない。
水越に気付かれて、それから好きだと告(い)われたから……。
センセイと何があったのかと聞かれて嘘をつけなかったから。

そんな理由はいくつかあるけど、どれもいいわけだし、結局、みっちゃんより水越に言ってしまったことは事実だし。

なんにも弁解する余地がない私は、しゅんと俯いて謝った。


「……ごめん」


許してくれるかな……。
傷ついたのはみっちゃんだ。


シーンとした私たちの間に、昼休み中に飛び交う他生徒の声が聞こえる。

少しして、みっちゃんの大袈裟な大きいため息が聞こえて来た。


「あーあ! 親友だと思ってたのは私だけか!」


そんなことを言われて、私は驚いてすぐに否定する。

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