世界中を敵にしても君だけは離さない
「私は子供の頃から足が早くて誰にも負けた事はなくて、あの時も男の人だからといっても負けなかった。すると背後から彼等の声が聞こえて来ました。酷い事を言っていました…」
「そうか…そんなに…酷い目にあったんだな…怖かっただろう…」
「はい。だから、絶対に捕まってはいけないって……無我夢中で走って走って、すると、いつの間にか知らない場所に居て、そこは崖。とうとう追い付かれて……体が浮いたと思ったのは覚えています」
「あの高さから落ちたのか?!」
「崖の上にいたはずの私が崖下で見つかったのなら、きっと、そうですね。あとは気付いた時、目の前にレヴァルド様、あなたがいた」
「ローズ。君は侵略者ではない。だから保護する」
「え……?」
「我が城で保護する。皇帝である俺が命じれば反論する者は誰もいない。誰もローズに危害を加えたりしない。安心しろ。君は俺が守る」
ローズの怪我を気遣いながらレヴァルドは優しく抱き締めた。
何故だか彼女が愛しくて仕方ない。ローズを傷つける全てのものから守ってみせると、そう心に誓った瞬間だった。