『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「近くの神社でお神酒を手に入れた。
練習も本格的な方がよいだろう。
じゃあ…始めよう!」
「は…始めようって…神事をこのような形では…できませぬ!!」
私はこれ以上にない程…首を横に振った。
「出来ぬと申すなら…わしも本番で出来ぬと申すだけのことだ!
わざわざ恥をかくまでもないだろう!
だいたい…城にはわしに恐れをなして作法など教える者もない…。
わしは…吉乃…。
お主に教えてもらいたいのだ。」
真顔で申された殿の表情に私は言葉を詰まらせたが殿はまた私をじっと凝視した。
「わかりました。」
またも根負けして…私はお銚子を取り…一度、二度とふり三度目で注がれたお神酒を盃に注いだ。
「まずは‥殿からでございます。」
殿は私が先程教えた順にならい盃を一、二度と口をつけて…三度目で飲み干した。
「次は…吉乃の番だ。」
三方に置いてあるお銚子を傾けて先ほど殿が口をつけた盃に一、二度ふり三度目でお神酒を注ぐと私に勧めた。