『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「先程も…そういったのだが…とにかく急な事で人が集まらないから出来ればきてもらえるなら同行してもらいたいんだが…!」
有無を言わさない見幕に私は…チラリと運転する弟を見て答えた。
「わかりました…。
今、弟に車で大学に向かってもらっているのですが…出来れば弟も同行させてもよいですか?」
「えっ…!!
ちょっと…何の話?」
諷馬は驚いて声をあげたので…しっー!と自分の口に人差し指を立てて圧力をかける。
「わかった…。
弟さんは…確かこの大学の特待生として推薦入学したんだったよな…!
是非来てくれると助かる…!」
電話口の向こうで「権田教授…これも持って行くんですか?」という声が響いてきて「頼む」とやり取りが聞こえてきたので私はとりあえず学校で話を聞く事にして電話を切った。
「困るよ…!
俺…明日、用事あるんだからさ!」
電話を切るなり悲鳴をあげた弟に私はすがる。
「姉のピンチに同行できないなんて…なんて薄情な弟なの…!
それに…あんただってこの件でもしかしたら株があがるかもしれないわよ!」