『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
さっきまで…ピーピーいってたとは思えない程…キリッとした態度で権田教授の話に割り込んできた諷馬は、同行する日本史サークルの男性陣を逐一睨み観察していた。
「そうかあ…。
よい弟さんがいてくれて良かったなあ…。」
権田教授は…諷馬の病的な行動には気付きもせずとりあえず安堵の息をついた。
「権田教授…!
荷物積み終わりましたので出発しましょう!」
日本史サークルの人達が…積み荷をトラックに積み終わったのを知らせた声に「わかった…!」と合図したのに私は慌てて経緯を尋ねた…。
「一体…何が起こってるんですか?」
「そうだなあ…。
説明するには…ちょっと時間が今はないのだよ…。」
権田教授は出発を待つ学生達を気にしながら私達に申し訳なさそうにしている様子を悟り…。
「諷馬…!
権田教授をあんたの車の後部座席に乗せてもいいわよね!
とにかく話聞きたいから…!」
「えっ…!?」
嫌とは言わせない状況で私は諷馬に詰め寄り懇願する。