『武士ドルが斬る!?』〈前編〉


 「弟か…。」


 受話器から漏れてきた声を聞きつけた殿は…電話を切った私に尋ねた。



 「ええ…。
 諷馬達が今からこちらに向かってくるようです。

 かなり…殿の先程の態度にご立腹でしたよ…。」



 諷馬の話題に殿は…いきなり鼻でフンッと笑った。



 「弟も心配症な奴だ…!!」




 「諷馬でなくても心配しますわ…。
 あんな事をしたら…せっかくデビューの話決まったのに…。」




 悪びれもない殿の態度に私は…先程のKabutoとの一件について意見した。





 「あれは…あいつが…吉乃の足にワザと足を突き出して転ぶように仕組んだからじゃ…!!」




 「えっ…。」




 思いもよらない答えに…私は絶句した。



 「確かに…。
 そんな素振りはありましたけど…。」


 確かにあの時…。

 ふいにKabutoに足をかけられた感触があったし…なんだか思慮深い態度で私に接してきていたようにも感じたのは事実ではあった。

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