『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「信長君は…。
うちの真帆の事…どう思ってるのかな…?
ちょっと厳しい言い方するかもしれないけど…“真帆”として今後の事を考えてくれているのかな‥?
それとも真帆が‥吉乃の生まれ変わりだと思ってるから真帆に対して好意を持ってるのかな‥?
自分は‥そこが知りたいとこなんだけど‥。」
パパは淡々とバックミラー越しに写る殿に目配りをしながら尋ねた。
「…周りに話してわかってもらえぬ話ではあろう…。
まさか戦国の世から時を超えてきたなどと…何をバカな事を言ってるのかと思うだろう…。
ただ…吉乃に会いたいと思う心がここに辿り着かせた。
真帆には吉乃と呼ぶ時の方が多いが…吉乃と同じ生き方をして欲しいわけではない…。
むしろ…わしだって“織田信長”として乱世を生き抜いた武将は‥あの焼け落ちた本能寺とともに朽ち果て‥もう戦国の世にわしのかえる場所はないその覚悟でここにきた‥。
再び吉乃の魂とあいまみえる事ができるなら、今度は二人で穏やかに暮らしたいとそれだけを願って‥。
うまくは説明できぬが…。
今のわしにとっては‥真帆は吉乃で、吉乃は‥真帆であることの思いの深さは変わらぬ‥。
だが…真帆を失うことは考えられない…この気持ちに嘘…偽りはない…。」