『武士ドルが斬る!?』〈前編〉


 二人の声に驚き私は耳を塞いだ。


 「なんですかー?
 突然…!?
 なんかおかしい事いいました…?」


 あまりの二人の見幕に私は…面食らいながら尋ねた。


 「吉乃って…!
 あの…信長公側室の…生駒吉乃?」


 諷馬は…運転しながら興奮気味で声を張り上げる。


 「うん…。
 よく私はわからないけど…特ダネ情報サークルの飲み会で話した時も実在する人で…信長公から寵愛を受けた側室だったという事は聞いたんだよね。」


 二人は私の言葉にただ驚き“信じられない…”と呟き権田教授が確認するように尋ねた。


 「生駒君の夢の中では、生駒君はその人物を…“殿”と呼び、その“殿”なる人物は‥夢の中の人物に“吉乃”と 呼んでいたという事なんだよね‥?」


 権田教授を息を飲みながら絞り出した声に頷き答えた。


 「ええ…。
 そうです…。
 殿と鶯谷を屋敷の縁側で見ていたりしていたくらいだから…殿から寵愛されていたかどうかはわからなかったけど…少なくとも、夢の中ではお互いの事を意識して思いあってるようには見えましたよ。」



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