『武士ドルが斬る!?』〈前編〉


 私の返答に額から流れる汗を拭い権田教授は言葉を繋げた。


 「…生駒吉乃という人物は、先程…君が情報サークルの者たちから聞いたように織田信長公より…最も寵愛を受けた人物でその寵愛ぶりからもわかるように吉乃が3人目の女児を出産後…産後の肥立ちが悪くて病に伏せた時に…小牧城が完成して移動を命じられたが…その時移動が難しいと吉乃の兄から相談され…わざわざ輿を用意させて小牧城に出向かせ嫡子、信忠の母として披露したみたいという事も伝わっているけど…その時代、例え側室だとしても輿に乗る事は…吉乃の身分を考えれば…本来ならば絶対有り得ない話なんだが‥輿を用意させて周囲に披露する事からしてみても…よほどの寵愛ぶりが伺えるという事がわかるよ…。
 生駒君は…輿はわかっているよね。」


 ポカンと間抜けな表情から悟った権田教授から尋ねられた言葉に返答する。


 「えっ…。
 輿ですよね…。
 よく江戸時代とかで2人がかりで担いでいる乗り物ですよね。」



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