恋せよオジョー!
オジョーとルール

あと、ほんの少し



ジェットコースターの後は、大方のものは乗ったし、楽しんだ。


外の世界は、本当に魅力的なものばかりだ。



自分の立場さえ、忘れてしまいそうだ。


空を見上げると、キラキラと星が輝き、その満点の星空の中に浮かぶ月もなかなかの美しさだ。


いつもは屋敷の中から見る月を、今日は外の世界から見ることができた。



きっとこんなことは、一生で何回もないだろう。


「どうした、急に黙って」


いきなり黙ったわたしに驚いたのであろう恭弥がわたしの顔を覗き込んだ。


「いいえ…ただ、月が綺麗だなって…そう思っただけです」



ありがとうの意を込めて、恭弥に微笑みかける。


すると恭弥はふっと、笑って


「昔っから、お前は月を見るのが好きだな…」



ぼそり、呟いた。



しかし、その言葉は


「はい?なんでしょう?」


風邪に流され、聞き取れなかった。



「なんでもねえ。ただ、昔を思い出しただけだ」



一瞬だけ、悲しそうに微笑む。
その笑顔がどこか儚げで、繋いでいる手に力がこもる。



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