ふたり輝くとき
サラの気が徐々に落ち着いていき、ユベールは呪文を解いた。

全身が痺れるように痛い。服もボロボロで、皮膚が火傷したようにただれている。

サラの気が爆発するように放たれた後、すぐにユベールとサラの身体もベールで覆ったにもかかわらず、長く続く衝撃に耐えられず壊れてしまった。

密閉の呪文は慣れないものだったから仕方ないが、サラがこれほどまでに強い力を無意識で使えてしまうということが恐ろしかった。望まない、得体の知れない力はサラにとって恐怖以外の何ものでもないだろう。

チラリと周りを見ると、ロランとアンナはサラの強い光に弾かれて芝生の上に座り込み呆然としている。だが、ユベールが立ち上がるのと同時にアンナは我に返ったようだった。

「素晴らしいわ!ユベール!早くサラと――」
「母上」

ユベールは近づいてこようとするアンナを睨み付けた。アンナはビクッとして立ち止まる。

何を言っても無駄だということはわかっている。だから、ユベールはそれ以上何も言わずに歩き出した。抱き上げたサラは……以前、ダミアンから奪い返したときよりも軽くなっていて胸が苦しくなった。

大きすぎる力に耐えられなくて、サラの肌にも無数の切り傷や火傷の痕ができている。おそらく身体の内側も傷ついてしまっただろう。

城の廊下へと入ったとき、入り口のそばに立っていたクロヴィスが頭を下げてきた。

「サラ様のお部屋にクラドールを待機させております。ユベール様のお洋服もそちらに」
「そ。じゃあついでにあのムカつく母親と王子気取りは面会お断りにしておいてよ」

いつからそこで見ていたのか、用意周到な国王側近にはイラつくけれど。それ以上に今はアンナとロランに腹が立っている。

そしてなぜなのかわからないけれど、自分自身にも――
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