ふたり輝くとき
「神様が与えてくれたって先生は言いました。でも、私はそんなこと望まなかった!普通に呪文が使えるだけで良かったのに、どうして――っ」

ユベールの腕の中で泣きじゃくるサラは、やはり小さくて。それが醜い欲望と大きな争いのために創られたとは思えないほど。

「理由を、知りたいの?」

しばらくして、少しだけ落ち着いたサラの涙を優しく拭って問いかける。

「り、ゆう……?」
「そう。理由。君がその力を持ってる理由を知りたい?」

サラの瞳が揺れて、迷っているのがわかった。本能的にその理由が“闇の中”にあることを理解している。

「真実は残酷だよ。慰めにはならない。もっと苦しく、痛くなるだけだ。それでも知りたい?」

サラは小さく頷いた。

「そう……」

知りたくない、と言って欲しかったのかもしれない。ユベールはサラの涙を親指で拭いながら、その涙の純粋さがユベールの話を聞き終えた後に色を変えてしまうのではないかと……

怖くなった。

「教えて、ください……」

ユベールが躊躇していると、サラがギュッとユベールのシャツを掴む。ユベールはフッと息を吐いてから静かに真実を語り始めた。
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