ふたり輝くとき
2人が城に戻ると、クロヴィスが待ち構えていたように城の入り口に立っていた。

「ユベール様、無断外出は困ると何度言ったらおわかりになるのですか?」
「僕はやることはちゃんとやってる。ちょっとくらい遊んだっていいでしょ」

いつもと全く同じ会話をして、廊下を進んでいく。いつものようにクロヴィスのため息が後ろから聞こえたけれど、いつものように無視をした。

そんな2人、手をつないだユベールとサラに厳しい視線を投げかけるのは、侍女たち。2人に対してではなく、サラに対してだけれど。

(あーあ、可哀想に)

たまに欲を満たすためだけに相手をさせる侍女は、自分が選ばれたと勘違いをするようで困る。ユベールにはその気は全くないというのに。

ユベールに言わせれば、その行為に気持ちがないことなど明らかだ。それ相応の扱いしかしていないのに、どこをどう解釈したらユベールが彼女たちを気に入っていると思えるのだろうか。

そしてその勘違いは醜い嫉妬へと変わる。その標的となるのはもちろん、ユベールの正室という座を手に入れたサラ。

ユベールに手を引かれてついてくるサラを見ると、公園でのキスがまだ尾を引いているようでどこかぼんやりしながら頬を染めて懸命に足を動かしている。

侍女たちの視線には気づいていないようだ。

祖父母に守られて平穏に暮らしていたサラが、侍女たちの悪意に耐えられるとは思えない。

サラは、泣くだろうか……?
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