ふたり輝くとき
「容疑はサラにかかっている。今、ユベールとサラの行方がわからなくなっていては、事情を聞くまでもないようだけれどね」

クロヴィスは努めて冷静にロランを見つめた。

「そうですか。国内は現在軍が捜索中ですが、見つからないことを考えるとすでに国外に出られたという可能性もありますね」

クロヴィスがユベールやサラの擁護をしなかったのが意外だったのか、ロランは「へぇ」と小さく呟いた。

「王家の混乱は他国に悟られる訳には参りません。極秘部隊に追わせましょう。ダミアン様、よろしいですね?」
「何でもいい!サッサと見つけ出せ!早く奴らを私の目の前で殺せ!」

ダミアンはそう言って、先ほど投げ捨てた警備兵に短剣を投げつけた。また1つ、紅く華が咲く……

ロランはそれを面白そうに眺めていたけれど、ふとクロヴィスに視線を向けてきた。

「あぁ、そうだ。極秘部隊は……ユベール贔屓の奴らが多いから、編成を変えて欲しいな。クロヴィス?」

ロランはポケットから光る紙を取り出して、クロヴィスへと飛ばしてくる。それを受け取って中身を確認すると、部隊に入れる者の名前がすべて書かれていた。

「……かしこまりました」

クロヴィスはもう1度頭を下げて、ダミアンに背を向けた。
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