ふたり輝くとき
「じゃあ……」
「サラ。僕は今でもルミエールを壊したいと思ってる。僕は君のように優しくはなれない」

言いかけたサラの言葉を遮って、ユベールは答えた。

「チャンスがあるのなら、僕はそれを成し遂げに行く」

たとえ、誰が止めようとも――サラに諭されたとしても――ユベールは必ずあの城を壊してみせる。

「ずっと、そのことを……考えていたのですか?」

そう問われて、ユベールは首を横に振った。

「いや……考えてたのは違うこと」
「違うこと、ですか?」

サラがそっと顔を上げてユベールを見上げてくる。揺れる瞳に、ユベールはクスッと笑ってサラの頭を撫でた。

「さっきから質問ばっかり」

ユベールがそう言うと、サラは俯いた。

「あ……ごめ、なさい」
「いいよ。でも、次は僕の番ね?」

ユベールはサラの頬に手を添えて顔を上げさせた。
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