ふたり輝くとき
「後悔?」

ユベールが問い返すと、サラはそっとユベールの胸を押して少し距離をとった。

「私と、一緒に来たこと……」

そこまで言って、サラは俯いた。

「後悔なんてしてないよ」
「でも、貴方はルミエール王国の第一王子です。こんな風に、私と出てきてしまったら――」

サラを引き寄せてギュッと抱き締める。

サラはまだ、ユベールを信じきれていないのだろう。今までの自分の行動を省みればそれも当然だけれど、ユベールはそれが歯痒くて。

「いいんだよ。僕がそうしたかった。それに、そんなことを言ったら君だってルミエールのお姫様だ」
「でも――」

ユベールはサラを抱き締める腕に力を込めた。サラが言葉を止める。

「言ったでしょ?好きって。君は僕の影を照らしてくれる。僕は、君と一緒に居たい」
「貴方の望みを叶えられないのに?」

ユベールの胸に頬を擦り付けて、サラは肩を震わせた。

望み――すべてを壊したい、と言ったことを言っているのだろう。

正直、壊したいという気持ちは変わっていない。真実を知った日から、もう何年もそう思ってきた。簡単に捨てられるほどの気持ちじゃない。

けれど……

「君のことは、壊したくないから」

サラだけは、そのままでいてほしい。ユベールを優しく照らす光を灯したままに。
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