ふたり輝くとき
「…………」
「ほ、本当ですっ!」

ユベールが疑いの眼差しを向けると、サラは慌てて少し大きな声を出した。

「わかったよ……でも、気は?抑えられないの?」

必死なサラに、ユベールはため息をついてサラの背中を撫でる。とりあえず、つらくないのは本当のようだ。

だが、気が漏れるのはどうにかしないといけない。

おそらくすでにユベールたちが国内にいないことくらい気づいているだろう。そうなれば、国外に捜索の手が伸びる。そして、王家の混乱を明るみに出さないよう極秘部隊を使ってくるだろうと予想できる。

こんなに気を漏らしていたら、すぐに見つかってしまう。

それが普段の極秘部隊ならば良いけれど、もしロランが動いているというユベールの考えが当たっていたら状況が好転することはないだろう。

「でも、私、何も……」

サラが指先で自分の額に触れた。

そういえば、ユベールがサラを追いかけたのは彼女が部屋を出たからで。そして、それに気づくことができたのは、彼女の気が漏れ続けていたからだ。

「……あのクラドール、藪だったんじゃないの?」

ユベールは舌打ちをした。

サラの力の暴走の後、きちんとトラッタメントが施されていなかった……という可能性があるということ。だが、ユベールは口ではそう言いながらもその可能性は限りなくゼロに近いということも知っている。

城で雇うクラドールはそれ相応の実力を備えた者だ。試験や適性審査もかなり厳しいもので、技術に不安のある者が紛れ込むことはないはずであるし、あってはならないことだ。
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