ふたり輝くとき
「僕らを追って、また必ずルミエールの奴らがここに来る。たとえ、君がそれを察知したとしても……戻ってこないで」

ユベールは低く言葉を紡ぐ。クリスティーナはそれでも躊躇っていたけれど、やがて静かに立ち上がった。

「……わかった」

そして、小さく呪文を唱えて、近くの水たまりから大きめのビンとパンやクッキーが入った袋を取り出した。

「そろそろ、そう言う頃だと思ってたの」

クリスティーナはフッと笑ってそれらをユベールの隣に置いた。

「2・3日分はあると思うよ。効かないのかもしれないけど、解熱剤も」

コトリ、と小さな小瓶が添えられる。

「それから……これ、2人の着替え」

ユベールはそれを受け取って、クリスティーナを見上げた。

「お父様たちは、適当に誤魔化してるから心配しないで。それじゃあ……気をつけてね」

くるりと背を向けて出口へと歩いていくクリスティーナ。ユベールは小さく「ありがとう」と呟いた。

彼女に聴こえたのかどうか、わからなかったけれど。
< 176 / 273 >

この作品をシェア

pagetop