ふたり輝くとき
「あら、ロラン。いらっしゃい」

情事の後の匂いに満ちた部屋。イザベルは妖艶に微笑んでロランを迎え入れた。何も纏わない姿を気にすることもなくベッドから手招きするイザベルのもとへ、ロランはゆっくりと近づいた。

柔らかな胸の膨らみに頭を預け、甘い香りに酔う。

「母上……やっとこの日が来たね」
「えぇ。貴方は本当にいい子ね、ロラン」

イザベルが愛おしそうに目を細めてロランを見つめ、ゆっくりと頭を撫でる。

「私の可愛いロラン。貴方こそ、国王にふさわしい」

母親のその言葉がロランを満たしていく。

そうだ。ロランが王位を継ぐ――それが自然の流れではないか。自分は国王ダミアンと正妃であるイザベルとの、城にいるどの王子や王女よりも先に生まれた息子。

故意に創られたユベールよりも、国王になるべき存在。

ようやく元に戻る、自分の立場。

この日をどれだけ待ちわびたことか。

「明日の朝、ユベールが裁かれる。サラが目覚めると思うから」

熱があったサラはクラドールのトラッタメントを受けて眠っているのだ。彼女が起きたら、ユベールとともに罪を問われる。

「母上……」

ロランはしばらく母親の温もりに包まれて、明日に思いを馳せた。

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