ふたり輝くとき
――ロランが後宮の奥、母親の部屋へ行くとちょうどジャンが出てきたところだった。

「……」

ロランに気づいたジャンは何も言わずに頭を下げて脇へと避けた。

「心配しないで。サラは俺がもらってあげるよ」

この男はサラが殺されようが構わないのだろうけれど、サラにはまだ価値がある。彼女の血を引いた子ならば、サラ女王のチャクラを取り込めるはずだ。

ジャンはやはり娘を知らなさ過ぎる。いや……愛していたはずのシュゼットのことも知っていることは少なかったのかもしれない。

邪魔なユベールは罪人として処刑され、サラをロランのものに。ダミアンは暴君だが、扱いやすい――丸め込むのは容易いだろう。サラを手に入れれば、ユベールよりも強い子(モノ)もロランのものになる。

ルミエール王国がロランのものになるのだ。

そして、この世界を……

こんな小さな国に満足するつもりなど毛頭ない。力がすべてだというのなら、それを手に入れればいいだけのこと。

自分より強い者は力ではなく知恵で引き摺り下ろす。いや、切れる頭もまた力のうちだ。

「母上、入りますよ」

ロランは零れる笑みをそのままに、母親の部屋へと入った。

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