ふたり輝くとき
『それなら、クラドールより優秀な人がもうすぐ来るよ。僕と同じように、星の呪文を使ってね』

ユベール国王の声に、ピクリとユベールが反応する。

そう、ユベール国王の使っている呪文は星の呪文。星の光が何年も後に届くように……呪術者の精神を光に乗せて未来へ飛ばすことができる。

『サラはクラドールじゃ治せない。それは君もわかっているんでしょ?血縁者も、意外にすぐ見つかったしね』

光の届く場所――目的地――は血縁者と決まっており、それ以外の者とつながることはできない。クロヴィスの先祖を遡っていくと、ユベール国王に辿り着くのだ。

『あぁ、クロヴィスは僕の妹の子孫なんだけど……まぁそれはいいか。あ、ほら、来た』
『ふぅ、うまくつながったわ』

突然、ユベールのすぐ隣で女の声が響き、ユベールは驚いてサラを見た。

「え……血縁者、って…………サ、ラ?」
『それって、どっちを呼んでいるのかしら?ユベールくん』

語尾に音符がつきそうなほどの軽やかな口調。楽しそうな声を出す女性は、ルミエール第18代女王サラらしい。

『サラちゃんのお母さん、シュゼットの家系は私の血を引いているのよ』
『そういうこと。じゃあ、サラ、よろしくね』
『はいはーい』

どうも軽いやりとりに不安になったユベールはサラを抱き起こして後ろから腕を回す。

「ユベール様……?」
「サラはどうなるの?」

サラが首を少し捻ってユベールを上目遣いで見つめる。その瞳はやはり熱のせいで潤んでいて儚く、ユベールはその目尻に唇を寄せた。
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