ふたり輝くとき
――呼吸の整わないサラの肌を優しく唇でなぞるユベール。何度も白い肌を啄ばんで……満足したらしい彼はサラの隣に身体を沈めてシーツの中でサラを引き寄せた。

「ねぇ、サラ」
「……はい」

名を呼ばれて、サラが返事をするとユベールは甘えるようにサラの胸に頬を摺り寄せた。くすぐったくて肩を竦める。

「置いてかないで、って言ったこと覚えてるよね?」
「はい」

サラがユベールの部屋――ルミエール城――から抜け出したとき、サラを追いかけてきてくれた。「置いてかないで」と、泣きそうになって告白をしてくれた彼は……可愛かった、なんて思っていたりする。

「君は……?」
「え?」

ユベールが上目遣いでサラを見つめる。

「僕がどこかへ行きたいって言ったら……追いかけてきてくれる?」

不安げに揺れる琥珀色に、サラはクスッと笑った。いつもの意地悪なユベールとは違って……やっぱり可愛い。そんなことを言ったら、ユベールは怒るだろうか?

「追いかけません」

少しだけ、サラも意地悪を言ってみる。ユベールがピクリと身体を跳ねさせた。

「だって……私も一緒に行くから。だから、追いかける必要がないんです」
「サラ……」

ふふっと、思わず声に出して笑ってしまったら、ユベールの瞳にはすぐに意地悪な光が差し込む。

「“イジワル”は僕の特権なんだけど。それとも、“期待”してるの?」

ニヤリと笑ったユベールは……やっぱりクロヴィスが部屋の扉を叩くまで許してくれないイジワルな王子様だった。
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