ふたり輝くとき
それは、ユベールがクロヴィスの持ってきた彼とサラの荷物を片付けていたときのこと。

(これって、母上が……)

小さな箱。何が入っているかと開けてみれば、小さな瓶がいくつか入っていた。それぞれ薄く色がついていて、種類が違うようだがどの瓶も開けられた形跡はない。

ユベールはすぐにその液体が何かを理解する。

媚薬、だ。

いつだったか、アンナがユベールとサラの子を急かしてサラに渡したと言っていた。サラはもちろんそんなものを自分から使おうとは思わないだろうし、ユベールも自分の手元にあるわけではないから忘れていた。

「もったいないよねぇ」

自然と零れた笑みは、サラの言う“いじわる”なものだったに違いない。

「これがいいかなーっと」

ユベールは躊躇うことなく、薄い桃色の液体が入った瓶をポケットに入れて小さな箱をベッドサイドに置いた。

他の物も後で試そうと思って。

クスッと笑ったユベールは期待を胸に、寝室を出た。
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