ふたり輝くとき
『きゃー!』
『うー!』

チカチカと寝室いっぱいに光の花が咲いては散っていく。壁際に置かれた大きめのベビーベッドにやんちゃな2人が寝かされているからだ。

「ねぇ、マノン、ディオン。君たちはさぁ、どうして今日に限って寝ないわけ?」

ユベールは頬をピクピクさせながらベッドを覗き込む。すると、左側に寝かされているマノンがとても嬉しそうな顔をして笑い、それとは対照的に右側のディオンは目を潤ませて今にも泣きそうになる。

「ディオン、そんな顔しないでよ。別に僕は君のことも可愛いって思ってるってば……」

可愛い双子が生まれて3ヶ月になろうとしている。毎日大変ではあるけれど子育てを楽しんでいるユベール。特に娘のマノンはユベールに懐いてくれていて、抱っこもほとんどユベールが担当という感じになっている。

ユベールは差をつけているつもりはないが、やはりこう……女の子を望んでいたことが、ディオンにはなんとなく察知できるらしく、ディオンはサラにベッタリだ。

「ほーら、とにかくもう君たちは寝る時間なの!早く寝なさい!」

そう、いつもなら夕食を済ませるとお腹いっぱいでぐっすり深夜までは眠るはずの2人はずっと光で遊んでいて。

なぜ、今日に限って……

「あのね、今日はバレンタインって言って、サラと僕がいちゃいちゃする日なの。わかる?だから君たちはもう寝て!早く寝て!」
『ま!』
『ぱー!』

サラの名前に反応するディオンと、怒られて(?)いるとは知らずにユベールが構ってくれるのが嬉しいらしいマノン。

あぁ、これは……ダメだ。
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