ふたり輝くとき
ユベールが大きくため息をついたとき、寝室のドアが静かに開いた。

「ユベール様?マノンとディオンは……」
『んー!う、うー!』
『きゃー!』

サラの登場に、ますますヒートアップする2人の“チカチカ”にユベールは眉根を寄せてサラを振り返った。

ユベールの表情が面白かったのか、サラがクスクスと笑う。

「もう……ユベール様がそうやって構うから、2人とも寝ないんですよ?」

サラはベビーベッドに近づいてきて、ディオンを抱き上げた。

「ディオン、貴方はもう寝る時間ですよ」

優しい声で囁いて、サラはディオンの頬にチュッと口付けた。そしてディオンの小さな頭をそっと胸のあたりにくっつける。

ディオンはすぐにトロンとして、その琥珀色の瞳がゆっくりと見えなくなる。

そしてサラは寝息を立て始めたディオンをベビーベッドに戻し、すでに大人しくなっているマノンを抱き上げて同じように寝かしつけた。

さすが母親というか……

2人がベビーベッドにおさまって、肌触りの良いブランケットをしっかり掛けてやり、サラは唇に人差し指を立ててユベールを見た。

その穏やかな“母”の笑顔に見惚れて動けないユベールの腕を、サラがそっと掴んで……2人はリビングへと戻った。
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