ふたり輝くとき
「大丈夫。今日は婚約の儀だけだから。結婚式は1週間後、城でお祝いする程度だけど……ごめんね。もっと豪華な結婚式を想像してたでしょ?」

今は小さな紛争をいくつか処理しているところ。盛大な結婚式など挙げたら国民に不満が広がってしまう。それを、ダミアンが許すはずがない。

そもそも、紛争だってダミアンが故意に起こしていると言ってもいい。貴族や国民たちの目がそちらに向くように仕向けているだけなのだ。

紛争自体、大したことのない争いを大げさに広めているだけである。実際は、すでに収束していたり、王家軍に従うように“教育”させていたりするだけで。

常に紛争処理に奔走している王家の軍と、王室派の国民たち。実際に武器を持つのは下の者で、上流階級や軍の上層部は滅多に動かない。

その裏で、ダミアンは女を侍らせて酒を飲み、豪華な食事をし、未だに衰えることを知らないらしい性欲を満たしている。

裕福な暮らしを捨てたくない者の醜さを、ユベールは嫌というほど知っている。

「いえ、そんな贅沢はできません。このお城も……きっと、私には大きすぎます」
「やっぱり……」

早めに彼女を失望させたほうがいいかもしれない。こんな純粋で嘘をつくことを知らないような娘が隣にいるのは気分が良くない。

「ユベール様?」
「ううん。何でもない。さ、行こ?」

ユベールは笑顔を浮かべて立ち上がった。

これから、この光の城で……この娘の影はどこまで濃くなるのだろうか。

そんな、期待を胸に秘めて。
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